国際観光研究所

私たちの講義について紹介します!② MICE論・MICE研修

今回は長崎国際大学の講義紹介シリーズの「MICE研修」編です。

本学ではMICEについての学びも深めるためにMICE論とMICE研修の2科目が学科共通選択科目に含まれています。この記事を読んでいる高校生の中で「MICEってなに?」と知らない学生も多いと思います。実際に私も講義を受講するまでMICEという言葉自体聞いたことがありませんでした(笑) 今回はそんなMICEについての簡単な紹介と講義の中身を皆さんに少しでも感じてもらえると嬉しいです。

1,MICEってなに??

本題のMICE研修紹介に入る前に、そもそも「MICE」のことを聞いたこともない、もしくは聞いたことはあるけど詳しくは知らないという高校生の方のためにMICEについて簡単にご紹介します。

「MICE」とはMeeting(会議)・Incentive(報奨)・Convention(学術会議)・Event(イベント・展示会)の頭4文字からなる産官学の各組織がビジネスや政治、学術的なテーマのもとに開催するビジネスイベントの総称です。皆さんが想像しやすいところで言うとE(イベント)の東京モーターショーや〇〇万博は聞き馴染みのあるものだと思います。このMICEは新たなビジネスやイノベーションを創出する機会として大変注目されています。

ここで「なぜ観光学科でビジネスイベントの運営みたいなことを学ぶの?」と思った方もいるかもしれません。側から見るとMICEと観光・旅行とは何の接点もないように感じますが、実は様々な産業とのつながりを持っており、観光に関しては大きな経済効果があります。 観光とのつながりを皆さんにイメージしてもらうために、好きなアーティストのコンサートを例に挙げるとそのファンは遠方からでも参加し、交通費や宿泊費・飲食代・コンサートのチケット代・周辺の観光費など多くのお金を消費します。またお金を消費するのは来場者だけでなくアーティストが滞在するホテルの手配・警備、コンサート会場のステージ設営・グッズ製作などコンサートの主催者が各ジャンルの専門企業に仕事を依頼します。そうすると「参加者がイベントに参加するための消費」と「主催者がイベント周辺産業へ消費する」という2点でビジネスが生まれ大きな経済効果につながります。観光分野は特に前者の消費に関して例に挙げた個人の旅行よりも消費額が大きい(行政・法人・団体が相手)ことと滞在日数が長い(学会や展示会は数日~10日程度の会期が一般的)ことから多額の収入・経済効果が見込めるという接点を持っているわけです。

2,MICE論について

冒頭でもご説明したように、本学にはMICE論とMICE研修が学科共通の選択科目に含まれており、2年後期開講のMICE論の単位を取得するとMICE研修を受講することができます。 MICE論では本学の実務家教員がMICEの基礎(MICEの仕組み・専門用語など)や誘致・仕事内容について講義します。時にはMICE運営のカギを握るPCO(Professional Congress Organizer)の方やMICEの会場となるホテルの方・MICEにおいて観光への重要な役割を担う旅行会社の方々に外部講師として講義していただく回もあり現場やMICE運営の生の声を聴くことができる貴重な機会があるのも本講義の特徴です。MICEについての知識が浅くても基礎から教えていただけるのですごく安心ですし、講義の終盤には自分でMICEの企画書を作ってみるという面白いワークもあるので楽しく興味を持ちながら学んでいける講義だと思います。

本文で紹介したMICEイベントの企画書の一部。よかった企画書は講義でみんなの前で紹介も。

3,MICE研修について

MICE論の単位を取ることができれば、いよいよMICE研修を受講することができます。

MICE研修はMICE論で得たMICEの仕事や仕組みの知識をもとに実際の現場を体験するという講義です。 私は昨年の後期に受講し、12月に福岡国際会議場・マリンメッセ福岡で行われた「日本肺癌学会学術集会」に出席してきました。本学会ではPCOである株式会社コングレのスタッフとして各会場の講演等で使用されるマイクなどの消毒作業やその他雑務をしながら、他のスタッフの方の動きや学会の雰囲気を見学させていただきました。私自身こういった学会に出席するのはもちろん初めてだったので新しいことの連続でしたが、特に感じたことは「引き出しの多さの重要性」「お客様のお客様を対応する責任感」です。今回は医療の分野に関する学会で公演中やブースを行きかう際にも常に専門用語の応酬で聞き馴染みのない言葉が飛び交っており、最初会場入りした際はやっていけるか不安な気持ちになりました。そんな中でもスタッフの方はそつなく業務をこなされており、MICE運営側がその分野の内容等に深く入っていくことはあまりないにしろ様々な分野に対する知識や事前の準備等で自分の中に引き出しを多く作っておくことが円滑な進行やイレギュラーな事態に対処できる鍵なのだということを間近で体感しました。また、今回の学会に限らずMICEの現場では「お客様のお客様」(本学会だったらお客様は医師や製薬会社、お客様のお客様は治療を受ける患者・薬を服用する患者やそのご家族)を相手にする機会が多くあります。先の先まで見据え様々なところに気配り・目配りしながら参加者が満足するような工夫や丁寧な対応が求められると感じました。そのため多くのスタッフがインカムでこまめに連絡を取り合ったり時間内に学会を進行させるために助け合ったりとこうした大きなイベント・学会の成功の裏には多くの人が関わり連携することで成り立っているのだということを見ることができました。

ポスターセッションブースの様子。様々な研究・症例紹介が掲示されていました。

講演会場の袖から。裏では多くの機材を使ってカメラやオンライン配信を管理している方々の仕事を見ることができました。

いかがでしたでしょうか?皆さんの学生生活で言うとMICEのPCOの方々は体育祭や文化祭の実行委員の人たちの規模が大きくなった版ととらえることもできると思います。MICEは上記でも説明したように旅行業者をはじめ、ホテル・会議場等の施設・イベント会社・人材派遣会社・ビューローなどといった多くの業種が関わりさまざまなキャリアからMICEにアプローチすることができます。そうした裏方として大きなイベントを支えたい人やMICEを通してホスピタリティ力やち密さといった現場のプロフェッショナルな人材に求められる力を身に付けたい人MICEを通じた観光についてもっと学んでみたいという人はぜひ受講してみてください。

日本肺癌学会学術集会のピンバッジ